白い月の真ん中の
少し前、あるバンドが解散した。
僕の地元の同級生が、中学の頃から組んでいたバンドだった。
僕は当時から、そのバンドが好きだった。
特に、彼らがコピーするブルーハーツの「月の爆撃機」が大好きだった。どうしても自分でも弾いてみたくて、中学卒業直後、ギターを始めた。
高校を卒業してからは、東京や埼玉を中心に活動していたようだけど、決して売れてはいなかったみたいだ。
彼らの解散に対する悲しみの声とかも、SNSを見る限りではほとんどなかった。
でも、僕はまだ、彼らが教えてくれたブルーハーツが好きだ。
「月の爆撃機」のコードも、まだ覚えている。
あのバンドのぬくもりが残っていて、今も僕を照らしてくれている気がする。
僕も今、バンドを組んでいるけど、それももうすぐ終わってしまう。
寂しいけど、悲しくはない。
これまでの思い出とか、優しさとかが、全部ぬくもりとして残って、僕を照らす光になるだろうから。
いや、そんな気がするだけ。