<2002年〜2004年頃>
小学2,3,4年のいつかの秋(細かい年は曖昧。2年生ほど前じゃなかったと思うし、4年生のときは腰椎圧迫骨折でしんどかった記憶しかないから、3年生かも)。
同級生とその父親と3人で沢に遊びに行った。
その同級生は家の裏手の田んぼの畦道を走って3分くらいのところに住んでいて、当時は毎日のように遊んでいた。
彼の父親はアクティブな人で、山とか川とか、蛇口の温度調節が難しすぎるローカル温泉とか、いろいろ連れ回してもらっていた。
沢では、手のひらサイズのサワガニを2匹捕まえて帰った。
9歳前後の子どもの手のひらだとすれば、ほんの5,6センチくらいの大きさだったと思う。
少しサイズに差があって、マリオとルイージみたいに見えたことをなんとなく覚えている。
虫とか動植物はそこまで嫌いじゃなかったので、収穫があって嬉しい気持ちで帰宅した。
でも、想像力に乏しかった自分は、「持ち帰ったサワガニをその後どうするのか」について何も考えていなかった。
「食べるしかないよね、ここで逃がすわけにもいないし。」みたいなことを母親が言ったところで、取り返しのつかなさに気づいた。
透明なビニール袋の中で元気にわしゃわしゃしていた2匹のサワガニは、カラッと素揚げにされ、あっけなく物言わぬ存在になってしまった。
謎の申し訳なさや悲しみが押し寄せてきて、その2つを食べることはもちろん直視することもできず、涙が止まらなかった。
嗚咽する自分の真横で、代わりに父親が渋い顔をしながら順番にむしゃむしゃと食べた。
「そういうものなんだよ。」みたいなことを母親が言ったことと、「これ『美味しい』って言っていいのかな…?」みたいなことを父親が言ったことを、いまだに覚えている。
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<2025年12月28日>
妻の希望で生牡蠣を取り寄せた。
牡蠣を剥くのは初めてだったけど、慣れれば楽しかった。
ちなみに、牡蠣の貝柱は、必ず貝殻の中心からちょっと右上にある。
何個か剥いたところで、ある殻の中からほんの2センチくらいの小さなカニが出てきた。
調べると「カクレガニ」と呼ばれるらしい。
まな板の上をちょこちょこ動いていて、その後半日近く様子を見ていたが、豆皿の中で終始元気に過ごしていた。
一応、飼っている猫に見せてみたが、眠気を上回るほどの興味は湧かなかったのか、睡眠に戻っていった。
茹でる前に改めて観察してみると、半透明な殻に黒っぽい内臓が収まっていて、小さな粒状の目も確認できた。
殻自体、ほとんど空洞になっていて、本当に単純な構造だった。
湯に潜らせるとすぐに鮮やかなオレンジ色に変わって、殻はつやつやと綺麗に光っていた。
ひとつまみの塩を振って食べた。
小さいカニの味がした。
小さい味だった。